卒業メッセージ

運動教室のみなさんへ


卒業・卒園・進級おめでとうございます。これまで運動教室に来てくれて、どうもありがとうございました。

もうすぐ学校や幼稚園、保育園が始まり、新しい学年や組になります。小学校や中学校に入学する人は、どんなところかワクワク楽しみにしているかもしれませんし、少し不安な気持ちがあるかもしれませんね。

はじめに、運動のことについて書きます。「運動」というのは広い意味があります。走ったりスポーツをしたりするのはもちろんですが、今みなさんが手紙を読んでいる時も、手や顔、目を動かしていると思います。これも身体の運動です。ごはんを食べたり、お風呂に入ったり、そうじをしたりすることも、身体をつかった運動になります。

学校で座って勉強する時、話をする先生や黒板を見るには顔を上げます。教科書を見る時には下を向きます。ノートに字を書いたり消したりする時には、鉛筆を持つ手だけでなく、反対の手もノートを押さえるのにつかいます。これらも身体にとっては運動になります。これらの運動は別にむずかしいことだとは思わないかもしれません。しかし、座った姿勢を保ったまま、物を見るために首を上下左右に動かすことや、左右の手を協力して動かして字や絵をかくことは、実はけっこう複雑な運動で、苦手な人もいるのです。

身体には反射(はんしゃ)という動きがあります。熱いものをさわった時に「あちち!」と手を引っ込めるのも反射です。身体を守るために、動かそうと思わなくても体が勝手に動きます。首の動きの反射によって、手足が伸びたり曲がったり、体が丸まったり反ったりすることがあります。首の動きの反射がうまく調節できるようになっていると大丈夫なのですが、そうではないと椅子に座る姿勢が苦手で「姿勢が悪い」と言われることや、マット運動で前転をする時に首をうまく丸められないことなどがあります。がんばろうと思っても、反射なので体が勝手に動きますから、なかなかむずかしいのです。

『姿勢を保つ、目で物を見る、左右の手を協力してつかう』、勉強するのにも身体の運動はとても大切です。これらの運動を上手にするためにはどうしたらよいでしょうか?

手や足を動かす命令は、脳と背骨の中から出ています。目で見た物や、食べ物のにおい、さわった物の重さや温かさなどの情報も、脳と背骨の中に伝わります。脳と背骨は身体を動かすコンピュータのようなものです。身体の中心で支えになっている背骨は、頭の骨から骨盤という腰の骨までの間に、24個の骨がつながってできています。

身体の中心から、手や足を動かせという運動の命令が出ます。そして手や足が動くのですが、その時に動いているのは手や足だけではありません。背骨や肩甲骨、骨盤という体の中心にある骨と周りの筋肉が一緒に動きます。手や足など身体のすみずみまで運動の力や動きを伝えているのは、身体の中心部分なのです。運動の命令も、身体を動かす力も、中心部分にある背骨や骨盤から出ています。この身体の中心部分をしっかりとつかって動けることが重要です。普通に生活していると、あまり身体の中心部分をつかわずに、手や足など身体の末端(まったん)部分をつかうことが多くなります。スポーツをしていても同じです。

ですので、身体の中心部分を動かすことを脳と身体に思い出させる、身体のつかい方を整える必要があります。そのためにするのが運動教室でしていたトレーニングです。ゴロゴロ転がることや、ハイハイをするのをたくさんしたと思います。転がる時には自然と首を動かして頭を打たないようにしたり、姿勢を調節したり、骨盤や肩甲骨を動かして体をひねる動きをしたりしています。ハイハイも背骨や肩甲骨、骨盤をつかって手足を動かします。そして左右の手足(肩と腰)を協力させて動かす運動です。

赤ちゃんは少しずつ、首が座って頭を動かせるようになります。体をひねって寝返りができるようになります。うつぶせでも頭を持ち上げられるようになります。ハイハイで移動できるようになります。寝ている時にキョロキョロ周りを見ることや、ハイハイで動くことで、目や身体の運動が段々と上手になっていくのです。少し前に書いた「反射」も、この頃の身体運動によってうまくコントロールできるようになっていきます。赤ちゃんの時にこれらの練習をたくさんしておくことが大事ですし、何歳になっても身体のつかい方の練習をすることは役に立ちます。

勉強する時に必要な『姿勢を保つ、目で物を見る、左右の手を協力してつかう』ということは、どんなスポーツでも同じです。剣道でも野球でもテニスでも、色々な姿勢になりながらボールや相手の動きを見ることや左右の手足を動かすことが必要ですね。

「身体の中心部分」=「身体の軸」がわかる・つかえる

背骨や首がはたらいて頭を支えられる、物を見ることができる

骨盤と肩甲骨がしっかりつかえる、協力してつかえる

身体の左右を協力してつかえる

身体を上手につかうというのは、勉強でもスポーツでも、その他音楽などにおいても大切なことなのです。中学生になったら勉強をがんばるのでスポーツはあまりしない、という人もいるかもしれません。しかし、皆さんもうお分かりのように、どんな時でも、自分の身体は一生つかいます。目や歯も含めて、身体は大切にしてください。スポーツをする人は、身体のつかい方を大切に、ケガをしないで上手になれるようがんばってください。

運動教室では身体のトレーニングもしましたが、友達と一緒に運動しただけではなく、遊んだことも楽しかったと思います。これからも、友達とおもしろいことを色々と考えてやってみてください。新しい学校やクラスでも楽しい思い出をたくさん作ってほしいなと思います。

世の中には色々な人がいます。これから出会う人の中には、苦手だなと思う人もいるかもしれません。すべての人と仲良くなることは難しいかもしれませんが、はじめは少し怖いなあとか、仲良くなれなそうだなあと思っても、話してみると意外と優しかったり、ふとしたきっかけで仲良くなったりすることも多いです。相手の人も「知らない人ばかりで緊張するな」とか「話しかけたいけど友達になれるかな」とか考えているかもしれません。今いる友達と同じくらい仲良くなる友達がきっとできますから、新しい学校・クラスになる人も心配しないでください。ちょっと話しかけてみようかなと思ったら、勇気を出して声をかけてみてください。「声をかけるくらい勇気を出さなくてもできるよ」という人もたまにいます。とてもすごい特技だと思います。どんどん友達を作ってください。それと、もし一人でさみしそうにしている人や、何か悩んでいるような人がいたら、これも勇気を出して一緒に遊ぶのにさそってみるなど声をかけてみてください。きっと相手の人はうれしいと思いますし、素晴らしい友達ができるはずです。

なかなか会えなくなる人もいますが、教室に来ていた人たちの「部活をがんばっています」「高校に合格しました」という話を聞くと、とてもうれしいです。いつでも遊びに来てください。みなさんがこれからも元気にさまざまなところで活躍してくれることを願っています。どうもありがとうございました。


髙橋 彬


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by hpf-tom | 2018-04-03 08:36 | トレーニング・指導内容(2018年度) | Comments(0)